移りゆく世相を枕に自在な筆捌きで、歴史上の人物のタテマエを考察した日経連載を一気読み!今も昔も変わらぬ日本人のホンネが見えてくる。
日本史ひと模様
おすすめのポイント
日本史研究者としてジャーナリズムの世界でも多面的に活躍している本郷和人・東大史料編纂所教授が令和改元をはさんだ1年余り、日経新聞日曜版に連載していた歴史エッセイ「日本史ひと模様」を一気読み!
連載の性格から時々刻々と移り変わる世相を枕に、歴史上の人物のタテマエを考察した連載は、本郷節とも言える自在な筆捌き、わかりやすい語り口ともあいまって、広範な読者を魅了したが、本書では一気読みによって、今も昔も変わらぬ日本人の思考・行動パターンが浮かび上がってくるのが最大の魅力と言えよう。
取り上げる人物は専門である日本中世史から平氏、源氏、北条氏周辺の人物、そして戦国大名、明治の元勲まで時代的に多岐にわたる。「地位は権力を約束しない」「古文書や古記録が言及しない史実はある」「日記はウソをつく」「鎌倉時代に幕府という言葉はなかった」「秀吉の天下統一まで日本という言葉はなかった」「源氏と平氏は昔からのライバルではなかった」等々の日本史上の「タテマエ」の裏に隠された「ホンネ」をユニークな切り口で一刀両断、「実はこの事件にはこういう意味があった」「今も昔も日本人はこういう時にこう行動する」などと大胆不敵に解説していく59編。時代的にも身分的にも一見結びつかないような人物の意外な連関性を明らかにして刺激的であり、本郷氏の膨大な著作群、ひいては日本史を学び直すための最良の道しるべともなっている。
目次
- 第1章 最後の将軍はなぜ生き永らえたのか
第2章 秀吉の天下統一まで「日本人」という意識はなかった
第3章 武家の力と、男と女
第4章 近代の入口で
第5章 本当のところを知りたい
第6章 「タテマエ」の「ホンネ」に注目してみると
著者・監修者プロフィール
東京大学史料編纂所教授
1960年、東京都生まれ。東京大学・同大学院で石井進氏、五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。専門は中世政治史、古文書学。東大史料編纂所では『大日本史料 第五編』の編纂を担当。著書・監修多数。NHK大河ドラマ「平清盛」の時代考証を務めた。
※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。