豪族たちを従え、海の向こうもにらみ、大和からこの国を統べる。大悪天皇とも有徳天皇とも言われた21代大王(天皇)のパワフルな生涯!
ISBN:978-4-532-17158-2
上製/四六判/432ページ
おすすめのポイント
『古事記』現代語訳から6年、待望の小説が紡がれた!
神話から歴史へのあわいの時代に
森羅万象を纏った、若く猛る大王が出現した
暴君であると同時に、偉大な国家建設者。
実在した天皇とされる21代雄略の御代は、形のないものが、形あるものに変わった時代。
私たち日本人の心性は、このころ始まった。
時代の転換点の今こそ、読まれるべき傑作長編! !
時は5世紀、言葉は鳥や獣、草木たちにも通じていた。歯向かう豪族たちや魑魅魍魎を力でねじふせ、國を束ねるワカタケル大王(雄略天皇)。樹々の合間から神が囁き、女たちは夢の予言で荒ぶる王を制御する。書き言葉の用意のない時代、思いを伝える歌と不思議な伝説、そして残された古墳の遺物や中国の史書……。作家は言葉の魂に揺さぶりをかけ、古代から現在に繋がる、「日本語」という文体の根幹に接近する――
令和改元をまたいで日経新聞朝刊に連載された小説がさらにパワーアップして単行本化。
目次
- 一 弑逆と蹶起
二 服喪の日々
三 暗殺と求婚
四 即位と統治
五 王國の構築
六 隣國と大國
七 文字の力
八 天と空
九 時は流れゆく
著者・監修者プロフィール
作家・詩人
1945年北海道生まれ。
88年「スティル・ライフ」で芥川賞、92年『母なる自然のおっぱい』で読売文学賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞。ほかに『楽しい終末』(伊藤整文学賞)、『静かな大地』(親鸞賞)、『花を運ぶ妹』(毎日出版文化賞)、『カデナ』、『キトラ・ボックス』など著作は多数。
近著に『科学する心』、『いつだって読むのは目の前の一冊なのだ』。『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』全30巻に続き、『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集』全30巻が完結。
本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。