現代人のいわれなき不安。それは「無常」という死生観、「かなし」という情感、「ひとり」という態度を忘れたからくるもの――。古代から現代までの涙の変容を考えることで「不安」の根源を探る画期的な日本人論。
ISBN:978-4-532-16476-8
上製/四六判/240ページ
おすすめのポイント
現代人のいわれなき不安。それは「無常」という死生観、「かなし」という情感、「ひとり」という態度を忘れたからくるもの――。古代から現代までの涙の変容を考えることで「不安」の根源を探る画期的な日本人論。
目次
- はじめに
第1部 涙と日本人
人は悲しいから涙を流すのか
怒りの涙と乾いた涙
心のなかで泣く
「恨」の悲しみ 他
涙の日本文学史
万葉集の「音のみし泣かゆ」と「涙し流る」
平安貴族の「袖の涙」
『平家物語』と武士道と涙 他
祈りの涙 懺悔の涙
泣く聖母 泣かぬ観音様
命がけの祈りで流した嗚咽の涙
棟方志功の「血噴きの仕事」 他
第2部 日本人が忘れてきたもの
あきらめること ひとりになること
科学技術よ、おごるなかれ
カミ隠し、ホトケ隠しの行きつくところ
科学と宗教には似たところがある 他
混沌と無常
世界は混沌から秩序へ、そして混沌へかえる
半眼が見透かす無常
『平家物語』と『戦争と平和』
無常と慈悲
自然と信仰
仏教の道を旅して
「生」から「死」への峠
聖なる「水の女」
西方浄土への憧れ
第3部 無常をくらす
「ひとり」を抱きしめる
「癒やし」は「イヤシイ」
「個」と「ひとり」
「ひとり」になれない比較地獄 他
五感を研ぎ澄ます
火祭の記憶
京の路地の脈動
下駄
京ことばに歴史がこだまする 他
老いを愉しむ
「カミ」にもっとも近い「老人」
老いの不思議な演出
乞食すれすれの第二の人生 他
著者・監修者プロフィール
宗教学者・評論家
1931年、米国サンフランシスコ生まれ。東北大印度哲学科卒業。国立歴史民俗博物館教授、国立国際日本文化研究センター所長を歴任。現在は日本文化研究センター、歴史民俗博物館、総合研究大学院大学の各名誉教授。
※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。