金融の不安定化は実物経済の衰退をカバーする金融肥大化から発生する不可避の事態。そのメカニズムと弊害、これからのリスクを分析。

金融不安定化原理
イノベーションの罠と深化の構造分析

定価:本体4,500円+税
発売日:2020年06月23日
ISBN:978-4-532-13503-4
上製/A5判/468ページ
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おすすめのポイント

金融システムの不安定化は、実物経済の低生産性化を背景とする金融部門の肥大化とリスクの集中化がもたらす宿命といえる現象だ。リーマン危機以来金融システムの不安定性の解明が叫ばれてきたが、まだ決定打は現れていない。
本書は、金融不安定化の要因を、金融イノベーションと金融ビジネスの観点から歴史的流れも交えて整理し、それがもたらすモラルハザード等インセンティブ上の問題に原因を求めるかつてない分析。制度、歴史、市場、金融商品と幅広く金融を研究してきた著者だからこそ可能となった包括的金融論である。
金融システムは、その機能を効果的に果たすために、金融イノベーションの発展をベースに、レント(超過利益)を確保する目的をもって、その時代折々の金融ニーズを満たすかたちで金融ビジネスが登場し、それとの協和の成果として変革を遂げてきた。そのため、求められる金融機能は共通であっても、その機能を果たす金融システムはそれぞれの国ごと、時代ごとにその環境の影響を受けて異なった形態として醸成される。このパターンは仮想通貨においても不可避だ。
本書は、まず、「プロローグ」で基本的な問題認識を示したうえで、「構図の整理」「問題事例の分析」「新たな問題と展望」の3つの部で展開する。
第I部(第1章~第4章)では、金融機能の歩みを、金融イノベーションを軸に整理し、金融ビジネスの重大な障害としてインセンティブ問題を提示する。
第II部(第5章~第8章)の「事例分析」では、金融ビジネスの迷走と金融システムの不安定化を、インセンティブ問題、特にモラルハザード商品を中心に、その問題行動の分析を通じてあきらかにする。
第III部(第9章、第10章)は、I, II部の記述を踏まえて金融ビジネスに大きな変革を迫る可能性のある金融イノベーションとして、ブロックチェーン技術を使った新しいファイナンスシステムの登場を扱い、審査を前提とする相対型金融システムの限界を示し、スタートアップ企業やベンチャー企業向けのファイナンスに対してどのように対処して拡大するべきなのかについて展望する。

目次

  1. プロローグ 金融ビジネスから金融システムを見る

     第Ⅰ部 金融イノベーション/ビジネスと金融システム―問題構図の整理
    第1章 金融イノベーションと金融危機

    第2章 金融ビジネスの発展--金融機能の歴史的展開

    第3章 金融機能

    第4章 インセンティブ上の問題--モラルハザードと逆選択

    〔追補〕格付成立の経緯とモラルハザード問題

     第Ⅱ部 わが国の金融ビジネスと金融システム--問題事例の分析
    〔補論〕日本的金融システムの構築―富の移転機能と裁量性の強化

    〔転換期編〕保護行政からテイクオフできない銀行

    第5章 銀行破綻の処理と救済--ベイルアウトに仕組まれたモラルハザード

    第6章 ベイルアウトからベイルインへ--見せかけのベイルイン
    〔追補〕バーゼルⅢ対応のオプション付資本性証券の商品性

    〔模索期編〕銀行のビジネススキームの転換がもたらしたモラルハザード

    第7章 銀行ブランドを使った安易な模索--毎月分配型投信のカラクリと預金類似性の呪縛

    第8章 過剰債務整理のための短命商品とその後の新株予約権スキーム--PIPEs

     第Ⅲ部 新たな金融イノベーションの波と金融ビジネスの行方4--ファンダメンタルズ情報のないファイナンス
    第9章 暗号資産とファイナンス--ICOの評価と問題

    第10章 ファンダメンタルズ情報のない段階でのファイナンス--スタートアップファイナンスの拡大

    エピローグ 金融深化

著者・監修者プロフィール

大村 敬一(おおむら けいいち)

早稲田大学大学院商学研究科教授
1949年神奈川県生まれ、72年慶應義塾大学商学部卒、81年同大学経済学研究科博士課程修了、法政大学経済学部教授、早稲田大学商学部教授、内閣府大臣官房審議官、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て現職。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。

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