導入後十余年を経て、量的緩和など非伝統的金融政策はどの程度効果があったのか。中央銀行はどんな資産を選択・購入するのが最適か。広汎なデータと国際比較からこの政策の意義と限界を緻密に実証分析した労作。
ISBN:978-4-532-13442-6
上製/A5判/324ページ
おすすめのポイント
導入後十余年を経て、量的緩和など非伝統的金融政策はどの程度効果があったのか。中央銀行はどんな資産を選択・購入するのが最適か。広汎なデータと国際比較からこの政策の意義と限界を緻密に実証分析した労作。
中央銀行の動きに対するこの十数年の結果から、何が効果的で、何が効きが悪いのかを実証分析した画期的な一冊です。
目次
- 序 章 非伝統的金融政策と資産価格――「伝統」の何が問題か
1 金融市場との対話とリアルタイムの政策評価:日米の事例
2 非伝統的金融政策の類型
3 「伝統」の何が問題か:理論的整理
4 中央銀行は何を買うべきか:非伝統的金融政策の効果
5 長期的趨勢と公的債務管理の現状
6 本書の立場
第1章 金融政策が期待に働きかける効果
1 期待形成の指標
2 負債デフレ論からみたデフレ心理
3 ケインズの「美人投票」
4 金融政策が期待に働きかける効果と金融資産市場の情報集約機能
データ補論
第2章 金融政策が投資家のリスクテイクを促す効果
1 リアルタイムの政策評価
2 金融資産市場の情報効率性――物価連動債の例
3 資産価格の予測可能性
4 金融政策が投資家のリスクテイクを促す効果と中央銀行の私的情報
補論 インプライド・フォワード・レートのHouglet法
第3章 非伝統的金融政策の効果の推定――中央銀行は何を買うべきか
1 非伝統的金融政策の三つの経路
2 二つの計量経済学上の課題
3 金融政策の情報変数としての資産価格
4 長期金利とインフレのリスク:国際比較
5 ゼロ金利下の非線形のテイラー・ルールと非伝統的金融政策の効果
6 「最後の買い手」機能と中央銀行のバランスシート
補論 「ルーカスの木」モデル
第4章 中央銀行とリスク・シェアリング
1 長期的視点:少子・高齢化とマクロ・ショック
2 予期しないインフレーションのリスク
3 マクロ・ショックに対する時間・状態を通じた課税平準化
4 マクロ・ショックに対する金融・財政政策:東日本大震災の場合
5 長期的視点に立った中央銀行の近未来像
補論 最適な公的債務構成に関するBohn(1990)モデル
終 章 中央銀行の新たな伝統の構築に向けて
1 長期的視点に立った金融市場のリスク・シェアリング機能の促進
2 中央銀行のリスクテイクを向上させるために
著者・監修者プロフィール
1964年生まれ。89年東京大学経済学部卒業、94年同大大学院経済学研究科博士課程修了。ラドガース大学客員助教授、イェール大学客員研究員、上智大学経済学部助教授などを経て現在、上智大学経済学部教授、博士(経済学)。
<主な著書>
『コア・テキスト金融論』新世社、2005年
『期待形成の異質性とマクロ経済政策』共著、東京経済新報社、2005年
『マクロ経済学をつかむ』共著、有斐閣、2006年
※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。
1968年生まれ。92年東京工業大学無機材料工学科卒業、日本生命保険相互会社入社。早稲田大学非常勤講師兼務などを経て現在、ニッセイ基礎研究所経済研究部チーフエコノミスト。
<主な著書>
『アセット・マネジメント・近未来』共著、きんざい、1999年
『期待形成の異質性とマクロ経済政策』共著、東洋経済新報社、2005年
※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。